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【一次資料で読み解く】特定技能外国人は日本人の雇用や賃金に影響しているのか?第15回有識者会議のデータ分析と今後の課題

【一次資料で読み解く】特定技能外国人は日本人の雇用や賃金に影響しているのか?第15回有識者会議のデータ分析と今後の課題

2026年10月24日 13:48

【一次資料で読み解く】特定技能外国人は日本人の雇用や賃金に影響しているのか?第15回有識者会議のデータ分析と今後の課題

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外国人労働者の受入れをめぐっては、国内の人手不足を補うために必要だという意見がある一方、日本人の雇用機会や賃金への影響を懸念する声もあります。

こうした問題を検討する際には、外国人労働者数の増減だけでなく、国内の就業者数、賃金、生産性、離職率、人材需要などを併せて確認する必要があります。

2026年10月19日に開催された「第15回特定技能制度及び育成就労制度の基本方針及び分野別運用方針に関する有識者会議」では、これらを検討するための統計や、特定技能・育成就労制度の変更案が示されました。

本記事では、農林水産省、厚生労働省、出入国在留管理庁などの公表資料を基に、外国人材の受入れと国内雇用の関係について、資料から確認できる事実と、現時点では判断できない事項を区別して整理します。

また、介護、医療・福祉施設給食、建設、製造業などの分野について、制度変更案の背景となる人手不足の状況も確認します。

※本記事は2026年10月19日の有識者会議の配付資料を基に作成しています。会議で提示された改正案は、すでに正式決定・施行されたことを意味するものではありません。


Q1.外食業の「国内人材確保−5万人」は、日本人の雇用が5万人減ったことを意味するのか?

【回答】

直接そのようには解釈できません。「−5万人」は、外食業分野の受入れ見込数の算定に用いられた国内人材確保数の指標です。

2025年の外食業では、特定技能1号の人数が当初の想定を上回った一方、国内人材確保数が想定を下回ったことが確認されています。ただし、この数字だけから、日本人労働者が5万人減少した、あるいは外国人労働者の増加によって、日本人労働者の雇用が減少したと結論付けることはできません。

2025年の外食業では何が起きていたのか

農林水産省が提出した資料2-1「外食業分野の受入停止措置に対する御指摘に係る回答」では、制度設計時の想定値と2025年の実績値について、次の比較が示されています。


図1:2025年の外食業における想定値と実績値の比較。出典:第15回有識者会議 資料2-1・125ページ。

市場規模は、想定26.1兆円に対して実績26.3兆円となり、おおむね想定どおりでした。

一方、受入れ見込数の算定上の総就業者数は、想定460.3万人に対して実績455.2万人となり、想定を5.1万人下回っています。

また、特定技能1号の人数は、想定2.8万人に対して実績4.4万人で、想定比157.1%でした。

国内人材確保数については、想定では1.72万人の増加を見込んでいましたが、実績に基づく算定値は5.0万人の減少となっています。

生産性向上は想定を大きく上回った

同資料では、生産性向上による人数換算値が、想定6.31万人に対して14.91万人となっています。

これは当初想定の約2.36倍です。

農林水産省は、市場規模がほぼ想定どおりであり、生産性向上が想定以上に進んだ一方、国内人材の確保が想定を下回ったことで、特定技能の活用数が想定を上回った可能性があると説明しています。

ただし、ここでいう14.91万人は、生産性向上の効果を人数に換算した計算上の数値であり、実際に14.91万人分の雇用が機械などによって失われたという意味ではありません。

この統計から何が分かるのか

2025年の外食業では、国内人材確保数と特定技能外国人数が、それぞれ当初の想定と異なる結果になっています。

しかし、総就業者数が想定より5.1万人少ないことは、実際の未充足求人が5.1万人存在することと同じではありません。

また、外国人材の増加が国内人材確保数の減少を引き起こしたかどうかについても、この資料だけでは判断できません。

確認できる課題は、受入れ見込数の算定に用いた国内人材確保や生産性向上の予測と、実際の状況に差が生じていることです。

出典:資料2-1「外食業分野の受入停止措置に対する御指摘に係る回答」125ページ。


Q2.外国人労働者が増えたことで、日本人の雇用は減少しているのか?

【回答】

今回の資料だけでは、外国人労働者の増加が日本人の雇用を減らしたかどうかは判断できません。

一方、外食業に関連する統計では、2021年から2025年にかけて、外国人労働者数と業界全体の就業者数の双方が増加しています。

外国人労働者数は4年間で約1.5倍に増加

資料2-1によると、外食業関連の外国人労働者数は、2021年の18.2万人から2025年の27.3万人へ増加しています。

同期間における外国人労働者比率も、4.2%から6.1%へ上昇しました。

図2:外食業関連の外国人労働者数と外国人労働者比率の推移。出典:第15回有識者会議 資料2-1・126ページ。

この外国人労働者数は、飲食店及び持ち帰り・配達飲食サービス業の合計です。

特定技能外国人だけではなく、留学生など他の在留資格で就労する外国人も含まれています。

業界全体の就業者数も増加している

同資料では、外食業の就業者数について、以下の数値が示されています。

  • 2021年:435.4万人

  • 2022年:437.9万人

  • 2023年:446.7万人

  • 2024年:448.3万人

  • 2025年:450.5万人

2021年から2025年までに、就業者数は15.1万人増加しました。

ただし、この統計の就業者数と、Q1で紹介した受入れ見込数の算定上の総就業者数455.2万人は、集計・算定上の位置付けが異なるため、単純に同じ数値として扱うことはできません。

外国人労働者の増加が日本人雇用に与えた影響は分かるのか

外国人労働者数と総就業者数が同時に増加していることは確認できます。

しかし、この事実だけで「外国人労働者の増加が、日本人労働者の雇用減少を引き起こしていない」と証明されたことにはなりません。

外国人雇用がなかった場合に日本人の雇用がどう変化したかという比較ができないためです。

その影響を検証するには、職種別・地域別の採用状況、企業ごとの雇用構成、日本人と外国人の賃金や就業状況の変化など、より詳細なデータが必要となります。

今回の資料から確認できるのは、外国人労働者数と外食業全体の就業者数が、ともに増加しているという事実です。

出典:資料2-1・126ページ。総務省「サービス産業動向調査」「サービス産業動態調査」、厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況。


Q3.外食業では賃金が上がっているのに、なぜ人手不足が続いているのか?

【回答】

外食業では高い有効求人倍率が報告されており、賃金も上昇しています。

一方、他産業との賃金水準の差、労働時間、離職率などの面では違いが確認されています。ただし、こうした指標だけで、人手不足の原因を一つに特定することはできません。

外食業の有効求人倍率は4.15倍

分野別運用方針案によると、2024年度の外食業の有効求人倍率は4.15倍でした。

同年度の全体の有効求人倍率1.25倍を大きく上回っています。

また、日本銀行の短観では、宿泊・飲食サービス業の雇用人員判断DIが2025年6月の実績でマイナス60となっており、人員不足感が強いことが示されています。

賃金の上昇と他産業との格差

資料1-2によると、宿泊業・飲食サービス業の常用労働者の時間当たり給与額は、2019年から2024年までに26.5%上昇しました。

同期間における全産業の上昇率は10.7%です。

一方、2025年の一般労働者の所定内給与額(月額)は、飲食店で282,800円、産業計では340,600円でした。

また、パートタイム労働者の時間当たり給与額は、宿泊業・飲食サービス業で1,272円、調査産業計では1,448円となっています。

労働時間と離職率にも違いがある

2025年の月間総実労働時間は、飲食サービス業等が172.6時間、調査産業計が160.5時間でした。

2022年3月に高校を卒業して就職した人の3年以内の離職率は、宿泊業・飲食サービス業で64.7%、調査産業計で37.9%となっています。

図3:外食業関連の賃金・労働条件と他産業との比較。各指標の調査対象・集計時点は異なります。出典:資料1-2・114ページ、資料2-1・127~129ページ。

外国人材の受入れが賃金上昇を抑えているのか

特定技能制度では、外国人に支払う報酬について、日本人が同等の業務に従事する場合と同等以上であることが求められています。

育成就労制度についても、日本人と同等以上の報酬を求める基準が設けられています。

ただし、制度上の報酬基準が存在することと、すべての事業所で適切に運用されていること、さらに外国人雇用が産業全体の賃金に影響していないことは、それぞれ別の問題です。

今回の資料には、外国人材の受入れが日本人労働者の賃金をどの程度変化させたかを直接検証した結果は示されていません。

資料からは、賃金上昇が確認される一方、他産業との賃金水準の差や高い離職率が残っていることが分かります。人材確保については、採用人数だけでなく、待遇や定着状況を含めた検証が必要です。

出典:資料1-2・114~115ページ、資料2-1・127~129ページ。


Q4.医療・福祉施設給食の人手不足は、どの程度深刻なのか?

【回答】

医療・福祉施設給食では、調理員の有効求人倍率が7.37倍、事業者アンケートにおける求人充足率が33.0%となっています。

また、アンケートに回答した34社のうち、人員が充足していると回答した事業者はありませんでした。

資料では、人員不足がさらに深刻化した場合、給食提供体制や患者・利用者の栄養管理に支障を来すおそれがあると指摘されています。

事業者の人員配置状況

厚生労働省が2026年8月に実施した日本メディカル給食協会の会員事業者へのアンケートでは、対象38社のうち34社が回答しました。

回答結果は、次のとおりです。

  • 欠員あり:59%

  • 多数欠員:38%

  • 撤退も検討:3%

  • 充足:0%

また、募集人数149,418人に対する採用人数は49,351人で、求人充足率は33.0%でした。

図4:医療・福祉施設給食受託事業者の人員配置状況。2026年8月のアンケート結果。対象38社、有効回答34社。出典:資料2-2・134ページ。

なお、この結果はアンケートに回答した事業者の状況であり、全国のすべての給食受託事業者に当てはまるものではありません。

提供食数が増える一方で、調理従事者数は横ばい

同じ資料では、1日平均提供食数が2024年度の2,950,471食から、2026年度には3,173,872食へ増加する見込みとなっています。

一方、調理従事者数は2024年度が130,005人、2026年度の見込みが129,642人で、ほぼ横ばいです。

図5:施設給食における提供食数と調理従事者数の推移。2026年度は見込み値。日本メディカル給食協会会員事業者へのアンケートを基にした厚生労働省の推計。出典:資料2-2・134ページ。

提供食数の増加に対して従事者数が同程度の水準にとどまっていることから、1人当たりの提供食数は増加する計算となります。

ただし、実際の労働負担の増減については、作業時間、設備の導入状況、調理方法なども考慮する必要があります。

なぜ機械化だけでは対応が難しいのか

病院や介護施設では、患者や利用者の病状、身体状況に応じた食事提供が求められます。

例えば、糖尿病食や腎臓病食などの治療食、刻み食やペースト食、アレルギーへの対応などです。

また、早朝の朝食対応、翌日の仕込み、衛生管理、地方における人材確保なども、資料で挙げられています。

このような業務の特性から、一般外食向けの汎用的な食品機械の導入が難しく、生産性向上の取組にも一定の制約があるとされています。

資料から確認できる課題は、給食提供の需要が増加する一方で、人材の確保が追いついていないことです。

出典:資料2-2・133~136ページ。


Q5.なぜ医療・福祉施設給食を外食業から飲食料品製造業へ移す案が示されたのか?

【回答】

2026年4月に外食業分野で受入れ停止措置がとられたことに加え、医療・福祉施設給食製造では接客の割合が低い事業所も多いことから、飲食料品製造業分野で受け入れる案が示されました。

2027年度の新規申請分から適用する緊急的措置として提案されています。

変更案の内容

図6:医療・福祉施設給食製造の対象分野変更案。2027年度の新規申請分からの変更が提案されています。出典:資料2-2・131~132ページ。

これまで、医療・福祉施設給食製造は外食業分野の対象となっていました。

一方、セントラルキッチンのように接客を伴わない事業所については、飲食料品製造業分野で受け入れる運用も行われていました。

今回の資料では、医療・福祉施設給食等の事業所の業務内容を精査した結果、接客の比率が低い事業所も多いことが説明されています。

そのため、外食業分野で設定されていた「医療・福祉施設給食製造」を飲食料品製造業分野の主たる技能へ変更し、対象となる産業分類に施設給食業を追加する案が示されました。

変更の背景

医療・福祉施設給食は、医療、介護、学校教育などの公共性の高いサービスに関係しています。

資料では、これらの分野で人員不足がさらに深刻化した場合、給食提供体制の維持や適切な栄養管理に支障を来すおそれがあるとされています。

このため、今期における緊急的な措置として、受入れ分野の変更が提案されています。

変更によって何が変わるのか

今回の案は、外食業分野全体の受入れ見込数を増やすものではありません。

医療・福祉施設給食製造を、今後どの分野の対象業務として取り扱うかを変更するものです。

また、2027年度の新規申請分についての措置であり、既に在留している外国人の在留資格が、この案によって自動的に変更されるという意味ではありません。

具体的な適用範囲や必要な手続きについては、正式な分野別運用方針や関連告示等の確認が必要です。

出典:資料1-1・5ページ、資料2-2・131~132ページ。


Q6.介護分野では、なぜ特定技能1号の受入れ見込数を2万人増やすのか?

【回答】

介護分野では特定技能1号外国人の在留者数が当初の想定を上回るペースで増加しており、現行の配分のままでは2027年度後半に受入れ見込数を超える可能性があるとされています。

このため、介護分野全体の受入れ見込数を維持しながら、育成就労から特定技能1号へ20,000人分を振り替える案が示されました。

特定技能1号在留者数の推移

介護分野の特定技能1号在留者数は、2023年12月末の28,400人から、2026年6月末には79,884人に増加しました。

図7:介護分野の特定技能1号在留者数の推移。2026年のみ6月末時点。出典:資料3-2・141ページ。

受入れ見込数の配分変更案

今回の案では、介護分野の特定技能1号の受入れ見込数を126,900人から146,900人へ増やします。

一方、育成就労は33,800人から13,800人に減らします。

介護分野全体の受入れ見込数160,700人には変更がありません。

また、全分野合計の受入れ見込数1,231,900人も維持されます。

図8:全分野合計と介護分野の受入れ見込数及び制度間の配分変更案。いずれも2028年度末を見据えた制度上の受入れ見込数。出典:資料1-1・3ページ、資料3-2・142ページ。

ヒアリング対象6社では、一定の技能を有する人材の受入れを重視

資料3-2には、外国人介護人材を受け入れる6社へのヒアリング結果が掲載されています。

調査対象の6社では、一定の技能を有する特定技能外国人の受入れが重視されており、育成就労外国人については、受入れ予定なし、または未定と回答しています。

ただし、ヒアリング対象は6社に限られており、この結果を介護事業者全体の意向とみなすことはできません。

特定技能と育成就労の需要の違い

特定技能1号は、一定の専門性や技能を有する人材を受け入れる制度です。

一方、育成就労は、就労を通じて特定技能1号水準の技能を持つ人材を育成・確保することを目的としています。

両制度では、受入れ企業が負担する育成費用や管理業務、必要とする人材の技能水準が異なります。

今回の資料は、こうした制度の目的の違いと、実際の受入れ需要との関係を示しています。

ただし、ヒアリング対象は6社であり、この結果を介護事業者全体の意向とみなすことはできません。

出典:資料3-1・139ページ、資料3-2・141~144ページ。


Q7.建設・製造業・航空・漁業では、どのような変更が検討されているのか?

【回答】

建設分野では主たる技能の追加や除雪作業の取扱い、工業製品製造業では業務区分の追加、航空分野では育成就労の対象設定、漁業では水産物産地卸売市場業の追加などが提案されています。

今回の変更案は、受入れ見込数の総数を増やすことだけを目的としたものではなく、対象業務や育成する技能の範囲を調整する内容も含まれています。

建設分野

建設分野では、育成就労の建築業務区分に「エクステリア施工」「ブロック建築」を主たる技能として追加する案が示されています。

また、豪雪地域等における除雪作業を、土木・建築の関連業務として位置付けることが検討されています。

ただし、除雪作業については詳細検討中とされており、具体的な取扱いは未確定です。

建設分野の受入れ見込数は199,500人で変更ありません。

工業製品製造業分野

工業製品製造業では、「板ガラス加工」「ガラス溶融成形」の業務区分を追加する案が示されています。

これにより、業務区分数は17から19となります。

また、航空機部品組立て、真空成形、手袋製造、フィルム加工、バフ研磨なども、業務や主たる技能の追加対象として挙げられています。

受入れ見込数319,200人に変更はありません。

航空分野

航空分野では、空港グランドハンドリングを育成就労の対象に設定する案が示されています。

特定技能1号の受入れ見込数を300人減らし、育成就労を300人増やすもので、分野全体の4,900人に変更はありません。

漁業分野

漁業分野では、「水産物産地卸売市場業」を新たな業務区分として追加する案が示されています。

資料によると、全国には759の産地市場があり、水産庁のアンケートでは7割以上の市場が人手不足を感じていると回答しました。

また、5年間で約1,000人が不足するとの推計も示されています。

ただし、求人件数や欠員数の直接的な統計は存在しないことも資料に明記されており、関連する統計や調査結果を基にした推計です。

飲食料品製造業分野

医療・福祉施設給食製造の対象分野変更に加え、「豆腐製造」を主たる技能として追加する案や、「塩製造業(食塩製造業に限る。)」を対象となる産業分類に追加する案が示されています。

これらの変更案から、各分野で実際に行われている業務や人材育成の必要性に応じ、制度上の対象業務・技能分類を調整する検討が進められていることが確認できます。

出典:資料1-1・3~5・19~28ページ。


Q8.今後の外国人材の受入れ制度では、何が課題となるのか?

【回答】

今回の資料では、外国人材の需要と受入れ見込数の差、国内人材確保の状況、職種ごとの人手不足、育成就労の受入れ体制などが課題として確認できます。

また、制度の運用に関しては、日本語能力、技能評価、転籍、労働条件、地域への人材集中、公租公課の納付などについても方針が示されています。

日本語能力と技能の習得

育成就労制度では、原則3年間の就労を通じて、特定技能1号水準の技能を有する人材の育成を目指します。

日本語能力についても分野別に基準が設けられています。

例えば、外食業分野の案では、育成就労開始前にA1相当以上の日本語能力、または相当する日本語講習の受講を求め、育成就労終了までにはA2.2相当以上を求めています。

一方、介護分野では、育成就労開始前からA2.2相当以上の日本語能力が求められる案となっています。

このように、必要な日本語能力は分野や段階によって異なります。

転籍と待遇向上

育成就労制度では、一定の要件の下で、外国人本人の意向による転籍が認められます。

今回の分野別運用方針案では、介護、工業製品製造業、建設、飲食料品製造業、外食業などについて、本人の意向による転籍制限期間を2年とする規定が示されています。

一方、航空や漁業などでは異なる期間が設定されています。

また、転籍制限期間に応じた待遇向上策なども規定されています。

なお、本人の意向による転籍と、やむを得ない事情による転籍は区別する必要があります。

。

公租公課の納付と制度上の適正な管理

分野別運用方針案では、税金・社会保険料などの公租公課の適正な納付を求め、未納の防止に向けて関係行政機関が連携することとされています。

また、犯罪への対応、外国人労働者の所在が確認できなくなった場合の対応、悪質な送出機関の介在防止などについて、関係機関による情報共有や対応方針が示されています。

これらはそれぞれ性質の異なる課題であり、労働者本人の権利保護や受入れ機関の適正な雇用管理という観点も含めて検討する必要があります。

なお、今回の資料は、外国人による犯罪の増減や、外国人労働者全体の法令遵守状況を統計的に検証したものではありません。

大都市圏への過度な集中を防ぐ取組

分野別運用方針案では、地域間の人材確保の状況にも言及しています。

地方において人材確保が困難となる事態を防ぐため、地域別の有効求人倍率などを把握し、関係機関が連携して対応する方針が示されています。

一方、転籍の制限は外国人本人の就労機会や権利にも関わるため、制度上の条件と例外を区別して理解する必要があります。


また、受入れ制度の運用状況を検証する際には、企業側の人材需要や行政上の管理だけでなく、外国人労働者本人の労働条件、転籍の機会、日本語学習環境、生活支援の実施状況などについても、継続的に確認することが重要です。

今回の資料から判断できないこと

外国人材の受入れについては、国内の雇用・賃金への影響だけでなく、地域社会での生活、日本語教育、行政サービス、治安などについても議論があります。

ただし、今回の会議資料は、これらのすべてについて影響を数量的に検証したものではありません。

外国人材の受入れが地域社会や国内労働市場に及ぼす影響を判断するには、それぞれの論点に対応する統計や調査が必要です。

制度上の受入れ見込数や対象業務に加えて、実際の雇用・育成状況、待遇、地域別の人材需要などを継続して検証することが課題となります。

出典:資料1-2「特定技能制度及び育成就労制度の分野別運用方針(案)」各分野の運用方針。


まとめ:第15回有識者会議のデータから分かったこと

今回の会議資料からは、主に次の事実が確認できます。

第一に、外国人材の受入れ需要が当初の想定を上回る分野があります。

外食業では2025年の特定技能1号の人数が想定比157.1%となり、介護分野でも在留者数が想定を上回るペースで増加しています。

第二に、国内人材確保と生産性向上の実績も、当初の想定と異なっています。

外食業では生産性向上が想定以上に進んだ一方、国内人材確保数は想定を下回りました。

第三に、人手不足の程度や背景は分野ごとに異なります。

医療・福祉施設給食では高い有効求人倍率と低い求人充足率が確認され、介護分野では即戦力となる特定技能外国人への需要が報告されています。

第四に、今回の変更案は受入れ見込数の総数を維持しながら、制度間の配分や対象業務の範囲を見直すものです。

特定技能1号と育成就労の合計受入れ見込数1,231,900人は変更されず、介護・航空での配分変更、建設・製造業等での業務・技能の追加が提案されています。

一方、今回の資料だけでは、外国人労働者の受入れが日本人の雇用機会や賃金をどの程度変化させたかについて、直接的な因果関係を判断することはできません。

外国人材の受入れをめぐる議論では、確認された事実、制度上の見込数、政策上の評価、今後の影響に関する予測を区別することが重要です。

本記事では、特定の政策への賛否ではなく、一次資料から確認できる情報と、その解釈上の限界を整理しました。

今後も、制度変更の正式な決定内容や施行後の実績を確認していく必要があります。


参考資料・出典

第15回特定技能制度及び育成就労制度の基本方針及び分野別運用方針に関する有識者会議

開催日:2026年10月19日

出入国在留管理庁・会議資料掲載ページ:
https://www.moj.go.jp/isa/03_00204.html

使用資料:

  • 資料1-1「特定技能制度及び育成就労制度の分野別運用方針の改正について」

  • 資料1-2「特定技能制度及び育成就労制度の分野別運用方針(案)」

  • 資料2-1「外食業分野の受入停止措置に対する御指摘に係る回答」

  • 資料2-2「外食業分野における医療・福祉施設給食業等の飲食料品製造業分野での受入れ(案)について」

  • 資料3-1「介護分野における特定技能1号・育成就労の受入れ見込数の配分変更について(基本的な考え方)」

  • 資料3-2「介護分野における特定技能1号・育成就労の受入れ見込数の配分変更(案)について」

※各統計の集計時点は本文及び図表内に記載しています。資料の推計値、受入れ見込数、事業者アンケートの結果については、実績値と区別して取り扱っています。

当事務所の情報掲載方針

当事務所では、法令、告示、行政機関の公表資料、統計などの一次資料を重視し、制度の内容と実務上の注意点を整理しています。

事実と推計、行政機関の見解、制度上の決定事項と検討段階の案を区別し、資料から判断できない事項については、その限界を明示するよう努めています。

掲載内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の在留資格申請や許可の可否を保証するものではありません。具体的な案件については、申請時点の法令・運用及び個別事情の確認が必要です。

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